削らないでも治せる?小児歯科の治療について
こんにちは。
浦和駅にある歯科医院、すずき歯科医院です。
小児歯科についてお話いたします。
子供が歯医者に行きたがらない理由としては、歯を削る際に感じる痛みや不快感があまりにも強いからです。日常的に感じることのない痛みであるため、「子供が歯医者嫌い」になる理由もよくわかります。親御さまにとっても、無理矢理歯科医院を受診させるわけにもいかず、悩ましいところですよね。そこで、ひとつの解決策として挙げられるのが「削らないむし歯治療」です。
小児歯科では、サホライド(フッ化ジアンミン銀)と呼ばれる薬剤を使って、虫歯治療を行うことがあります。サホライドは、むし歯の進行を抑える薬であるため、厳密にはむし歯を治すわけではありません。けれども、むし歯を削らないで病態が悪化するのを止めることができるため、小児歯科の治療法としては広く普及しています。保険も適用されます。そこで気になるのがサホライドを適用する症例ですよね。
サホライドは、あくまでむし歯の進行を抑えるための薬剤ですので、対症療法でしかありません。それでもなお、治療の一環として行うのは、治療が困難なケースに限られます。例えば小児歯科では、歯科医院に来ることができても、歯を削るのは絶対に無理という子供も珍しくはないのです。そういった子供には、無理矢理歯を削るようなことはせず、サホライドによってむし歯が進行するのだけは抑えることとなります。乳歯というのはいずれ永久歯と生え代わるものですから、サホライドのような一時的な処置であっても問題ないとされています。
乳歯の場合、削らないでも済むような小さなむし歯にも、サホライドが適用されることがあります。ちなみに、サホライドには銀が含まれており、歯面に塗布することで黒く着色されます。そういった審美的な問題もあることから、永久歯で使われることはほとんどありません。
乳歯のむし歯を削って治すとなると、永久歯と比べて削る量が多くなります。なぜなら、クラウンなどは既製のものを使うことが珍しくなく、必然的に多くの歯質を削らなければならなくなるからです。また、二次的な感染を予防する意味も込めて、歯質を多く削る傾向にあります。そういった点から、サホライドのような保存的な処置を積極的に活用する場面も多いといえます。
このように、小児歯科ではサホライドのような削らないむし歯治療がありますが、根本的な解決法にはなりません。それでも、削らないことで歯科治療を受けることができる子供もいるため、必要に応じて利用することが大切といえます。